1枚の写真

現像は大事です。

大宮盆栽美術館は市の財政的には苦しいものの、来館者には盆栽の新しい見方を提供してくれる良い場所です

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さいたま市立大宮盆栽美術館は、2010年に開館した、世界で初めての公立の盆栽美術館です。
歳を重ねると段々と好みが渋くなってくるのか、最近は盆栽の良さがなんとなく分かる様になってきましたので、大宮公園を訪れた際に大宮公園小動物園と共に盆栽美術館も訪れました。こちらは大宮公園から徒歩約15分ほどで、この美術館の為にわざわざ大宮まで旅をするのは中々気が進みませんが、近くで他にも用事があるのであれば、おすすめの場所です。日本文化を再発見できます。

 盆栽美術館の盆栽たち

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盆栽美術館は、大きく常設展などの館内展示スペースと、中庭スペースに分かれています。
常設展では、盆栽を見る時の見方(「根付き」から見て、「立ち上がり」に目を移し…など)や、器の違い、盆栽の歴史などがパネルなどで説明されています。パネルの反対側には、息を呑むような見事な盆栽が飾られています。この常設展で、盆栽の楽しみ方を学び、最上級の盆栽を見るだけでも入場料分の価値はあると思います。
その中でも特に良いと思ったのが、常設展最後の方にある、「真」「行」「草」の各和室です。「真行草」を全く知らなかったのですが、中国の書道に由来する三つの伝統的な型の種類で、茶道などでも頻繁に登場する言葉とのことです。厳格な「真」体に対して、くずして動きをもたせたのが「草」体、その中間となるのが「行」体。ただ、「真」が最も高価で良いものということではなく、あくまで「型通り」なのか「型破り」なのかということみたいです。
この和室が余りに見事だったので写真を撮りたかったのですが、写真撮影に関する制限がきつく撮っても良い場所と撮っても良い盆栽が限られてしまっていて、写真を残せなかったです。美術館だから当たり前なのかもしれませんが、残念でした。
大宮盆栽美術館の公式ホームページにそれぞれの和室の写真が載っていますので、見て頂くか、直接現地で見てきて欲しいです。ちなみに、公益社団法人さいたま観光国際協会の盆栽ページも美術館に関する説明を載せていて、こちらの写真も非常に素敵です。
この日は特別展が展示内容入れ替えの為に見れなかったので、常設展の後は中庭スペースで色々な盆栽を見ました。撮って良いと許可されていた盆栽を、警備員さんに監視されながら、遠慮なくバシャバシャと撮りました…。

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盆栽美術館の財政状況

さいたま市大宮盆栽美術館は、入館料が大人300円と激安な価格設定です。大宮公園小動物園に引き続き、何故これ程までに安い価格設定が可能なのか…と不思議に思ったので、簡単にリサーチをしてみました。
平成27年度(2015年度)のさいたま市の決算を確認すると、収支は▲103,217,388円、つまり約1億円の赤字です。来館者数は2014年度で約7万3千人。収入はこの来場者数に300円を掛けると約2,200万円ほどとなるので、経費で年間約1億2,500万円ほどかかっているという試算になります。
主な事業の成果として開示がある経費は特別展・企画展・盆栽講義などで5,500万円、施設運営で2,500万円、施設維持管理で2,300万円です。これらを足すと1億ちょっとになり収支金額とほぼ一致するので、もしかすると収入(歳入)は別建て表記なのかもしれませんが、歳入に関する記載は見当たりませんでした。
1億円の赤字はかなり大きいなと思いインターネットを探してみると、批判している人は結構いました。主な批判としては、以下の様なものでした。

  • オープン前は経費9,000万円程度と言っていたのに実際の初年度は1億7千万円だった
  • 展示用に栃木県内の美術館から5億円で盆栽を購入したものの最初の1年で幾つかが枯れた
  • オープンする2010年頃の見込みでは入場者数が2015年には12万人という高い目標を掲げているが、無理だと思う(実際、2014年度実績は7万3千人)

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確かに、当初計画は達成できていないですし、収支もかなりのマイナスです。ですが、事業としてそこまで悲観する状況では無い様に思います。当初よりも運営費用はかなり下がってきていますし、コストカットを進めながら特別展や出張講義などの採算度外視の事業を減らし、入場料を大人500円に上げれば、財政状況はかなり良くなるのではないかと思います。
また、さいたま市内に拘らず、東京でも盆栽展を開催するなどして集客方法を見直せば、長い目で見ればゆくゆくは赤字を出さないことも可能なのではないかな、とも思いました。大宮は「盆栽村」としての歴史がある様なので、文化を守る事業を辞めるという方向ではなく、全国に広めることで採算が取れるまでになって欲しいなと思います。
いずれにせよ、お金のかかっている非常に良い美術館です。盆栽は季節ごとに違う魅力があると思いますので、さいたま市に住んでいる皆さんには年に何回も、市外に住んでいる方もぜひ1回は訪れてみて欲しいです。

場所

さいたま市大宮盆栽美術館の最寄り駅は、JR宇都宮線土呂駅」(徒歩5分ほど)で、東武野田線の「大宮公園駅」(徒歩約10分)からも行けます。ですが、私は大宮駅から徒歩で大宮氷川神社を参拝し大宮公園でゆっくりした後、小動物園へ行き、徒歩で盆栽美術館へ向かう、というお散歩コースがおすすめです。

我が家に来た盆栽

盆栽美術館の裏手には盆栽の販売スペースもあります。ここで手頃な初心者用の盆栽「ボケ」を購入し、育てています。残念ながら風通しの良い場所に置かないと枯れてしまうとのことなので室内鑑賞用には適していません(日中室内に飾ったら、夜は外に出したりしなければいけないです)。ですが、家で育てて毎日水やりをしていれば変化をじっくりと見ることができるので、愛情を注ぎ、枯らさない様に頑張りたいと思います。(せめて1年は枯らさずに頑張りたいです)

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デジタル現像

苔が面白いなと思ったので撮影時に枝を思いっきりぼかして苔と土に焦点を当てた写真を撮りました。少し地味な比較画像ですが、苔の緑と土の凸凹を目立たせる様に暗い部分の領域のコントラストを高めてみました。